介護業界では毎年、介護士の人材不足が深刻な問題として取り上げられています。介護士の人材不足は単純に人手が足らないというだけに限らず、それらを原因としたトラブルや事故に発展してしまう危険性をはらんでいます。実際に人材不足が原因で発生したトラブルや事故について、具体例や事例もいくつか報告されているのです。
例えば、とある特別養護老人施設では、介護士が腰痛を抱えていながらも我慢して仕事を続けていました。その結果症状が悪化して出勤できなくなってしまい、欠員が出た結果さらに他の介護士にも似たような症状が出たという事例があります。腰痛を起こした原因も仕事を続けなければならなくなった理由も人材不足であり、数少ない職員が過剰な負担を強いられてしまったために起きたものです。
また、とあるグループホームに配属された新人の介護士の事例としては、新人なので当然教育や指導を受けなければいけないのですが人員不足のために満足な教育を受けられませんでした。その結果十分な介護の知識や技術を身につけられずに独り立ちを余儀なくされてしまい、結果的に高齢者を転倒させてしまったり怪我に繋がった事例もいくつかあります。さらに怪我や事故以外にも、高齢者の虐待に繋がってしまった事例があるなど、深刻な問題に発展してしまったものも少なくありません。
このように、人材不足は職員だけではなく施設やサービスを利用している高齢者にも影響が出てくるため、早期に解決するべき問題として指摘されています。